映画「怪物」を見てきました。
率直な感想。
自分も「怪物」かもしれない。
映画では、愛情深いシングルマザー、生徒思いの小学校の先生、交通事故で孫を失った校長、そして無邪気な子供たちとその友人たち、それぞれの視点から物語が進行します。
人間社会が内包する闇、人間関係、社会との関わり方が丁寧に描かれています。
物語が進行するにつれて、登場人物それぞれの視点が追加され、各登場人物に対して抱いていた感情が
次から次へと見事に裏切られます。
当然ながら、同じ出来事でも視点が変われば見える世界も全く変わります。
自分が見ている風景が正義であり、その正義を振りかざせば振りかざすほど「怪物」が出現します。
「怪物」は社会性を獲得した人間らしさそのものかもしれません。
映画を通じて感じたのは、できるだけ「他者の視点」に立ってみる努力が必要だなということ。
他者からみると全く違う世界が待っています。
怪物が勇者に変わることさえある。逆もまた然り。
しかし、この「他者の視点に立つ」ということが結構難しい。
他者の視点を理解するには相手を深く知る時間が必要です。
効率を追求する忙しい現代生活では、その時間が圧倒的に不足しています。
ただ、どんなに相手を理解しようとも、結局のところ自分は相手になることはできません。
結局「怪物」はいなくならない。
やはり、私も「怪物」かもしれません。