当院では、小児期の矯正治療の一環としてOMT(オーエムティー)を行っております。
OMTとは、Orofacial Myofunctional Therapyの略。日本語で簡単に言い換えると、
「(口を含む)お顔の筋肉の治療法」です。
当院では、知らず知らずのうちに身についてしまった「筋肉の悪い癖」をとりのぞき、あごの骨や口の周りの組織の健全な発育・発達を促すとともに、矯正治療によって得られる正しいかみ合わせを安定させるためにOMTを導入しています。
小児期だけに限定せず、成人の矯正治療の患者様にも、筋肉の力に偏りがあったり悪い癖がある場合、正しいかみ合わせに治療した後の安定性を得るためにOMTを行っています。
当院で行うOMTについては、今後の記事で詳しくお伝えしていきます。
今日は、そのなかでも大事な「鼻呼吸」についてです。
呼吸が口の筋肉とどう関係があるの?と思われるかもしれませんが、とても大事なことです。
「お口ぽかん」という言葉を最近耳にすると思います。
口は、話したり、物を食べるなどの活動をしている以外の時間は「唇は閉じていて、上下の歯が軽く触れあうくらいにかんでいるか、かんでいない」状態が正常です。この状態が保てない場合、健常なかみ合わせや口の周りの筋肉に影響します。
「お口ぽかん」な人は、唇(くちびる)が開いています。そして、口で呼吸していることが多いです。(なかには、鼻で呼吸している人もいます)
常に口で呼吸している人は、お口を閉じましょうと言ってもなかなかできません。
口で呼吸している人が鼻で呼吸すると苦しくなります。
そのため、頑張って鼻呼吸をするのをやめて、口で楽に呼吸しようと閉じていた唇を開いたり、あくびやため息が出ます。お子様の場合、苦しいことを隠そうとして早口でおしゃべりを始めることもあります。
さて、長くなりましたが、正しいかみ合わせの安定、お口の周りの骨や筋肉の健全な発育のためにお口を閉じているのが理想的なのですが、鼻呼吸が苦しく口を閉じていられない!となった場合、どうすればいいでしょうか。
その答えが、OMTです。
当院で行うOMTでは、とても大切な「鼻呼吸」についても丁寧に指導します。鼻呼吸を行うためには、腹式呼吸が大切です。なので、腹式呼吸がどういうものなのかもお伝えし、できるようになるまで指導します。
当院は歯科なので、かみ合わせの治療の一環としてOMTをしていますが、この鼻呼吸は体全体の健康にもつながります。
口呼吸では、乾いた空気がそのまま口の中に入ってくるので、口腔内の粘膜が乾燥し、菌が繁殖しやすくなります。口の中には、むし歯菌も歯周病菌もいます。この菌が繁殖しやすくなるのは望ましくありません。
鼻呼吸では、鼻の中で湿った空気に変わり、ウイルスやほこりといった外部からの敵を鼻の粘膜が捕まえてくれるので、体内に入ってくる空気は体に優しいものに変わります。
これから暑くなってくるとマスクで息苦しくなるので、ついつい口で呼吸しがちになりますが、唇を閉じて鼻で呼吸することを意識してくださいね。