矯正治療といえば、受け口、出っ歯、ガタガタなどの歯並びを治す治療と一般的には考えられているようです。
しかし、一見するとそれほどガタガタ、出っ歯、受け口でもないのにうまく噛めない方がいらっしゃいます。
本日、矯正終了後の顎の検査(CADIAX:キャディアックス)をした患者さんは、そのような患者さんでした。
当院に通院していた患者さんの紹介で兵庫県から来院されました。
顎のずれなどが気になり、ずっと悩んでいたようです。
来院されたときには数年前に作製した、かみ合わせの治療のための取り外すことができる金属の装置をつけていました。
装置のコンセプト自体は、かなりきちんと考えられていて、大きな問題がないと感じました。
また、この装置によって患者さんの顎の違和感も改善されていたようです。
しかし、患者さん自身は、取り外しの煩わしさや、清掃性などで困っていたようです。
そして、40代という年齢で、今後一生この装置を使い続けることへの不安も抱えていました。
患者さんとじっくり相談させていただき、矯正治療であればご自身の歯を動かして、自分の歯できちんと咬めるようになることを説明しました。
今回の治療は単純にガタガタ、受け口、出っ歯を治すのではありません。
矯正治療で正しいあごの位置に誘導し、その位置できちんと咬めるように治療計画を立てなければなりません。
当院でかみ合わせの治療を行う場合、すべての患者さんにCADIAX(キャディアックス)検査をおこなっています。
↑ CADIAX(キャディアックス:オーストリア、ウィーン製)
顎の運動は非常に複雑かつ繊細です。
CADIAXで検査することにより、顎の動きを詳細に分析することができ、見えない動きまで把握することができます。
今回もGEAW(ギア)システムで治療を行いました。
治療期間は10カ月。
術前と術後では歯の並び自体は多く変わっていませんが、ご自身の歯できちんと咬めるようになりました。
患者さんは装置の取り外しから解放され、顎の違和感もなくなりました。
矯正治療は単に見た目の歯並びを治すだけではないのです。
大切なご自身の歯を削ることなく、良かみ合わせへと変えることができる素晴らしい治療だと考えています。